薬剤師の転職・退職で忘れがちなお金の手続き5つ|健康保険・年金・失業給付

薬剤師の転職・退職で忘れがちなお金の手続き5つ健康保険・年金・失業給付

退職してから次の職場に移るまでのあいだ、健康保険・年金・税金は自動では切り替わりません。期限が14日や20日と短いものもあり、知らずに過ぎると損をします。退職前に決めておきたいことを5つに絞って整理しました。

1. 健康保険は3つから選ぶ(退職後20日以内)

すぐ次の職場に入るなら新しい勤務先の健康保険に入りますが、空白期間ができるなら次の3択です。

選択肢期限ポイント
任意継続退職日の翌日から20日以内2年間。保険料は全額自己負担で在職中の約2倍。ただし協会けんぽは標準報酬月額32万円が上限(令和8年度)
国民健康保険14日以内保険料は市区町村ごとに違う。倒産・解雇・雇止めなど会社都合の退職は、前年の給与を30%とみなして計算する軽減あり
家族の扶養に入る早めに年収130万円未満(60歳以上・障害のある方は180万円未満)などの条件

任意継続は以前「2年間やめられない」と言われていましたが、2022年1月から本人の申出だけで脱退できるようになりました。国保の保険料を計算してみて、途中から国保に移ることもできます。

出典:全国健康保険協会「任意継続」「令和8年度保険料率」/厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」「非自発的失業者に係る国民健康保険料(税)の軽減措置」

2. 年金は市区町村で切り替える(14日以内)

厚生年金から国民年金(第1号)への切り替えは、年金事務所ではなく住所地の市区町村で行います。扶養に入っていた配偶者も同時に資格を失うので、あわせて手続きが必要です。

令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円。収入がない期間の負担としては軽くありません。ここで知っておきたいのが失業等による特例免除で、失業を証明できれば、本人の前年所得にかかわらず免除や納付猶予を申請できます(配偶者・世帯主の所得は審査されます)。

注意したいのは、免除と猶予の違いです。全額免除の期間は将来の年金額に2分の1が反映されますが、納付猶予は受給資格期間に入るだけで年金額には反映されません。

出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」「国民年金保険料」「保険料の免除制度・納付猶予制度」

退職後の手続きと期限

3. 失業給付は「1か月」に短くなりました

自己都合で辞めた場合の給付制限は、以前は2か月でした。2025年4月1日以降に離職した方は原則1か月です。退職日からさかのぼって5年間に、自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている場合などは3か月になります。

さらに、離職期間中にリスキリングのための教育訓練を受けると、この給付制限そのものが解除されます。

受給までの流れは、ハローワークで求職申込みと離職票の提出をして受給資格決定、待期7日、雇用保険説明会、その後は原則4週間に1度の認定日という順番です。基本手当の日額は離職前6か月の賃金から計算され、上限は30歳未満で7,450円、30〜44歳で8,270円、45〜59歳で9,110円、60〜64歳で7,830円です(令和8年8月1日現在)。

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「受給手続きの流れ」/厚生労働省「令和7年4月以降の給付制限期間」

4. 企業型DCの資産は6か月以内に移す

勤務先に企業型確定拠出年金があった方は、資格を失った日から6か月以内にiDeCoか次の職場の企業型DCへ移す手続きが必要です。放っておくと自動移換となり、次の3つの不利益があります。

  • 運用されず、現金のまま置かれる
  • 管理手数料がかかり続ける
  • 自動移換されている期間は、受給要件になる通算加入者等期間に入らない(受け取り開始が遅くなることがある)

出典:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「転職・退職された方へ」

5. 税金は「退職した月」で変わる

その年のうちに再就職すれば、前職の給与を含めて新しい勤務先が年末調整をしてくれます。年内に再就職しなかった場合は、源泉徴収された税金が納めすぎになっていることが多いので、翌年に確定申告をすると戻ってきます。この還付申告は5年間できます。

退職後に自分で払った国民年金保険料・国民健康保険料は全額が社会保険料控除の対象なので、控除証明書や領収書は捨てずに取っておいてください。

住民税は、1月から4月に退職すると原則として残りが最後の給与から一括徴収されます。6月から12月の退職なら、一括徴収を希望するか、自分で納付書で払うかを選べます。

出典:国税庁タックスアンサーNo.1910/総務省「退職所得に対する住民税の特別徴収」

まとめ

  • 健康保険は任意継続・国保・家族の扶養の3択。任意継続は20日以内、国保は14日以内
  • 年金の切り替えは市区町村へ14日以内。失業なら特例免除が使える
  • 自己都合退職の給付制限は2025年4月から原則1か月
  • 企業型DCの資産は6か月以内に移換。放置は手数料と期間の両方で損
  • 年内に再就職しなければ、翌年の確定申告で還付を受けられる

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薬剤師・医療従事者のお金
この記事を書いた人
薬剤師FP 池ゆか

薬剤師/AFP/証券外務員一種。お金とカラダの相談室 代表。29歳のとき、母の闘病と父・祖母の介護が重なり、「体調」と「お金」は切り離せないと実感してFPの資格を取得。薬剤師の視点で、家計・保険・NISA・ライフプランのご相談を全国からオンラインで受けています。シティリビング、読売カルチャーセンターで講師を担当。医療法人・ドクターの方のご相談も。

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