2026年度の最低賃金が決まりました。薬局の人件費、見直しの3つのポイント

2026年度の最低賃金が決まりました。薬局の人件費、見直しの3つのポイント

2026年度の地域別最低賃金が、すべての都道府県で決まりました。10月1日から順に発効していて、遅い県では12月に切り替わります。薬局では、事務スタッフやパートの方の時給だけでなく、月給の方も確認が必要です。この記事では、今年の改定の内容と、薬局の人件費を見直すときのポイント、使える公的な支援を整理します。

全国加重平均は1,177円(56円の引上げ)

2026年度の全国加重平均(働く人の数で重みをつけた平均)は1,177円で、前年度の1,121円から56円上がりました。引上げ額は都道府県によって54円から65円です。主な都道府県は次のとおりです。

2026年度の地域別最低賃金(主な都道府県)
都道府県改定前2026年度引上げ額発効日
東京1,226円1,280円54円10月1日
神奈川1,225円1,279円54円10月1日
愛知1,140円1,195円55円10月1日
大阪1,177円1,231円54円10月1日
福岡1,057円1,114円57円10月4日
福島1,033円1,094円61円10月16日
山梨1,052円1,113円61円11月1日
熊本1,034円1,092円58円12月1日
全国加重平均1,121円1,177円56円-

発効日は都道府県ごとに違います。発効日以降に働いた分から、新しい金額以上で支払う必要があります。

出典:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金の全国一覧」「全都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」(令和8年9月3日)

月給の人も「時間額」で確かめる

最低賃金は時間額で決まっていますが、月給の人にも当てはまります。月給制の場合は、次の式で確かめます。

月給 ÷ 1か月平均の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

ここでいう月給には、通勤手当・家族手当・精皆勤手当、残業代、賞与などは含めません。

架空のモデルケース金額
事務スタッフの月給(基本給+職務手当)19万円
1か月平均の所定労働時間160時間
時間額に直すと約1,188円
東京(1,280円)・大阪(1,231円)で働く場合最低賃金を下回る

同じ月給でも、働く場所によって結果が変わります。複数の都道府県に店舗がある場合は、店舗ごとに確認しましょう。

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」、厚生労働省 最低賃金特設サイト「あなたの賃金を比較チェック」

使える公的な支援

賃金の引上げと、仕事の効率を上げる設備投資をあわせて行う中小企業向けに、業務改善助成金があります。2026年度の主な内容は次のとおりです。

項目2026年度の内容
対象事業場内最低賃金(その事業場でいちばん低い時給)が、改定後の地域別最低賃金を下回る中小企業
引上げのコース50円・70円・90円
助成の上限コースと人数で決まり、最大600万円(10人以上は特例事業者のみ)
助成率事業場内最低賃金1,050円未満は5分の4、1,050円以上は4分の3
申請期間2026年9月1日から、地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早いほうまで

申請期間は都道府県の発効日で決まるため、10月1日に発効した地域などは、すでに締め切られています。発効日が11月以降の地域は、まだ間に合う可能性があります。予算の範囲内で受け付けるため、早めに労働局へ確認しましょう。

また、2026年度の調剤報酬改定では、薬局の職員の賃上げにあてる「調剤ベースアップ評価料」(処方箋の受付1回につき4点、2027年6月以降は8点)ができました。算定には地方厚生局への届出が必要です。

出典:厚生労働省「業務改善助成金」「業務改善助成金のご案内」「業務改善助成金Q&A」(令和8年9月8日)、九州厚生局「ベースアップ評価料の届出について」、令和8年厚生労働省告示第69号(調剤点数表抜粋)

たとえるなら「毎年の薬価改定」

薬価は毎年のように改定されます。だから薬局では、改定がある前提で在庫や仕入れの計画を立てます。最低賃金も、ここ数年は毎年大きく上がっています。「上がったら考える」ではなく、毎年上がる前提で、人件費を1年の計画に組み込んでおくと、慌てずにすみます。

人件費を見直す3つのポイント

  1. 全員の時間額を確かめる:時給の人だけでなく、月給の人も時間額に直して、発効日までに確認します
  2. 上の人との差を見る:新人の時給だけが上がると、経験のある人との差が小さくなります。賃金の段階が逆転していないかも見ておきます
  3. 1年分の人件費を試算する:時給が上がると、社会保険料や賞与の計算にも影響します。入金と支払いの流れは薬局のキャッシュフローの記事も参考にしてください

まとめ

  • 2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円。10月1日から12月にかけて順に発効
  • 月給の人も「月給÷1か月平均の所定労働時間」で確かめる
  • 業務改善助成金の申請期間は、発効日の前日か11月30日の早いほうまで
  • 調剤ベースアップ評価料など、賃上げを支える報酬もある

あわせて読みたい

もっと具体的に整理したい方へ

記事の内容を、ご自身の収入や予定に当てはめて整理したい方には、オンラインの個別相談をご用意しています。その場でお申し込みを受けることはなく、「今日は整理だけで」でも大丈夫です。

個別相談のご案内を見る

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品をおすすめするものではありません。制度の内容は2026年10月時点のものです。

薬局経営とお金
この記事を書いた人
薬剤師FP 池ゆか

薬剤師/AFP/証券外務員一種。お金とカラダの相談室 代表。29歳のとき、母の闘病と父・祖母の介護が重なり、「体調」と「お金」は切り離せないと実感してFPの資格を取得。薬剤師の視点で、家計・保険・NISA・ライフプランのご相談を全国からオンラインで受けています。シティリビング、読売カルチャーセンターで講師を担当。医療法人・ドクターの方のご相談も。

薬剤師FP 池ゆかをフォローする
タイトルとURLをコピーしました