薬局が冬の賞与を払う前に確認したいこと(社会保険料・届出・源泉徴収)

薬局が冬の賞与を払う前に確認したいこと(社会保険料・届出・源泉徴収)

冬の賞与(ボーナス)を出す時期が近づいてきました。賞与は毎月の給与と計算のしかたが少し違い、2026年からは子ども・子育て支援金も加わっています。この記事では、薬局が冬の賞与を払う前に確認しておきたい、社会保険料・届出・源泉徴収の基本を整理します。

賞与の社会保険料は「標準賞与額」で計算する

賞与の社会保険料は、支給額(税引き前の総額)から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、保険料率を掛けて計算します。標準賞与額には上限があります。

保険標準賞与額の上限
健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金年度(4月〜翌年3月)の累計で573万円
厚生年金保険1か月あたり150万円(同じ月に2回払うときは合算)

なお、ここでいう賞与は、名前にかかわらず年3回以下で支払うものです。年4回以上払うものは、毎月の給与と同じ扱いになります。

出典:日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」(2026年10月6日更新)、協会けんぽ「令和8年度 保険料額表(福岡支部)」

子ども・子育て支援金は賞与にもかかる

2026年4月分の保険料から、医療保険料とあわせて子ども・子育て支援金(こども・子育て施策にあてるため、医療保険に上乗せして集めるお金)の徴収が始まりました。2026年度の支援金率は全国一律0.23%で、賞与にも同じように標準賞与額×0.23%がかかります。毎月の保険料と同じく、事業主と本人で半分ずつ負担します。

福岡県の薬局で、40歳未満のスタッフに賞与30万円を払う場合の概算は次のとおりです(架空のモデルケース)。

賞与30万円のときの社会保険料(架空のモデルケース・福岡・40歳未満)
項目(料率)本人負担事業主負担
健康保険(10.11%・福岡)15,165円15,165円
厚生年金保険(18.3%)27,450円27,450円
子ども・子育て支援金(0.23%)345円345円
雇用保険(本人0.5%・事業主0.85%)1,500円2,550円
合計44,460円45,510円

健康保険料率は都道府県ごとに違い、40〜64歳の人には介護保険料(1.62%)も加わります。雇用保険料は、標準賞与額ではなく実際に支払う賞与の額に料率を掛けます。

出典:協会けんぽ「令和8年度の協会けんぽの保険料率」「協会けんぽの子ども・子育て支援金率について」、厚生労働省・こども家庭庁「子ども・子育て支援金に関するQ&A」(令和8年2月12日)、厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」

賞与支払届は、支払日から5日以内

賞与を払ったら、支払日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ出します。電子申請、郵送、窓口のどれでも提出できます。

あらかじめ登録している賞与の支払予定月に賞与を払わなかったときは、「賞与不支給報告書」を出します。今年は冬の賞与を見送る、という場合も手続きが必要です。

出典:日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」「賞与を支給したとき、賞与支払予定月に賞与が不支給のとき」

賞与の源泉徴収は「前月の給与」で決まる

賞与から差し引く所得税は、毎月の給与とは別の表(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)を使います。手順は次のとおりです。

  1. 前月の給与から社会保険料などを引いた金額を出す
  2. その金額と扶養親族などの数を表に当てはめて、税率を求める
  3. 賞与から社会保険料などを引いた金額に、その税率を掛ける

たとえば上のモデルケースで、前月の給与(社会保険料などを引いた後)が25万円、扶養親族なしの場合、税率は4.084%です。賞与30万円から本人の社会保険料44,460円を引いた255,540円に掛けて、約10,436円になります。

2026年分からは、基礎控除などの見直しにあわせて税額表が変わっています。前月に給与がない場合や、賞与が前月の給与の10倍を超える場合は、別の計算になります。源泉徴収した税金は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます(納期の特例を受けている場合は、7月〜12月分を翌年1月20日まで)。具体的な計算は、税理士・税務署にご確認ください。

出典:国税庁「No.2523 賞与に対する源泉徴収」「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」

たとえるなら「臨時の処方箋」

定期の処方とは別に出る臨時の処方箋でも、飲み合わせの確認や記録は欠かせません。むしろ、いつもと違うからこそ、手順を決めておくと安心です。賞与も、毎月の給与とは別の「臨時の支払い」です。保険料、届出、税金と、確認することは毎月の給与と同じくらいあります。

払う前に確認したいこと

  • 12月の手元資金:賞与と社会保険料の事業主負担分を払っても、仕入れや家賃の支払いに困らないか(薬局のキャッシュフローの記事も参考に)
  • 対象者の年齢:40歳になった人は介護保険料がかかる
  • 前月の給与と扶養の情報:源泉徴収の税率が決まる
  • 届出の日程:支払日から5日以内に賞与支払届

まとめ

  • 賞与の社会保険料は、1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」で計算する
  • 2026年4月分から、賞与にも子ども・子育て支援金(0.23%)がかかる
  • 賞与支払届は支払日から5日以内。払わないときは賞与不支給報告書
  • 賞与の源泉徴収は、前月の給与をもとに税率を決める

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品をおすすめするものではありません。制度の内容は2026年10月時点のものです。

薬局経営とお金
この記事を書いた人
薬剤師FP 池ゆか

薬剤師/AFP/証券外務員一種。お金とカラダの相談室 代表。29歳のとき、母の闘病と父・祖母の介護が重なり、「体調」と「お金」は切り離せないと実感してFPの資格を取得。薬剤師の視点で、家計・保険・NISA・ライフプランのご相談を全国からオンラインで受けています。シティリビング、読売カルチャーセンターで講師を担当。医療法人・ドクターの方のご相談も。

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